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2004.01.07

金型問題

中国遺跡巡り: 中国(深セン)ビジネス情報目次

 全ては、一通の税関内部文書に始まりました。この通知は、[2003]172号文と言い、税関の内部文書ですが、今や世間に流布しまくっており、「公然の秘密文書」というべきものになっています。発行時期は、2003年6月4日です。内容は、「今まで設備単体としてみなしてきた金型などについて、今後設備単体とはみなさず、スペア部品としてみなす」というものでした。

 この、一見どうでもいいような文書が、我々生産企業に大恐慌をもたらすことになります。と言いますのも、我が社を含め、多くの在中国外資企業は、「無償貸与」という免税輸入方式を使って、金型を輸入してきておりましたが、この文書が示した見解が、この免税輸入が出来るかどうかにかかってくる重要な判断に影響したからです。

 「無償貸与」というのは、はしょって説明しますと、海外企業が設備を中国企業に無償で貸し出すという制度で、この制度を利用すれば免税で設備輸入することが出来るというとても便利な制度です。そして、この制度を利用できるのは、「外国投資企業:免税にしない商品リスト」という一覧表に列記されていない商品に限るとされています。で、このリストですが、最後の部分に「設備のスペア部品」という項目が入っております。つまり、税関が「これは設備単体ではなく、スペア部品だ」と判断すれば、この制度の適用を受けられなくなるのです。

 この内部文書のいやらしいところは、あくまで内部文書であって、外部に公開されたものではない、というところです。つまり、企業はある日突然金型の「無償貸与」申請を却下される。なぜかと聞いても、窓口では「今後金型の『無償貸与』は認められない」というだけです。これでは、通関員が上司に説明しようとしても、上司を納得させることは出来ません。さらに、上司も本国に「これこれこういう理由で今後免税輸入できなくなりました」と納得させる証拠がありません。営業も、「これこれこういう理由でコストアップになり、値上げをお願いします」(なんて頼み込める企業は少数でしょうが)と顧客にお願いする根拠が示せません。それ以前に、企業というのは、あたりばったりで生産しているのではなく、一年や半年ごとに生産計画を立て、それに則って予算を組んで、製品を生産しているのです。そうやって練り上げた計画が、予告もなく降ってわいたようにやってきたこの一枚の内部文書のおかげで、全ておじゃんです。

 ……とまあ、生産企業にとっては、天から降ってきた災難のようにこの一枚の文書が災いを及ぼしたのです。当社の場合は、この情報を6月末ごろにキャッチし、大騒ぎになりましたが、税関と交渉しても全くラチがあきません。仕方なく、金型は(無償貸与なのに)値段を付けて、一般貿易輸入せざるを得なくなりましたが、その通関価格に対する関税(は当社の場合ゼロですが)と増値税(17%)を支払わねばならず、大幅なコストアップになりました。

 このような状況は、他の企業にも見られたようで、当社に所轄税関の幹部が訪問されたとき(8月下旬)、この件について苦情を申し上げたところ、ある幹部より「この件については、いろんな企業から苦情が寄せられ、我々も上部に報告した。おそらく、上部より新しい解釈が出るのではないか?」というお話がありました。そして、ついに11月4日、[2003]357号と呼ばれる文書が税関総署より出されました。これは、くだんの157号文の解釈をひるがえし、もとに戻すもので「今後は金型も設備とみなす」というものです。ちなみにこの文書も内部文書ですが、「公然の秘密文書」化しております。

まあ、騒げばいいこともある……ということでしょうか。この国では、ヘンな規定、不条理な法律などが発布されても、現場で騒げば、すぐに改正される、或いは、執行段階では無視されるということがままあるようです。今回、各企業が騒いだことで、この内部文書が示した解釈は、わずか(?)5ヶ月でくつがえされたのでした。

ただし、同文書には「今まで納めた税金については、これを返却しない」という条文もきっちりついています。

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