加工貿易
おそらく日本では加工貿易というと「原料を海外から輸入し、国内で加工して製品にしてから輸出する」形態の貿易を指すと想われます。私も小学生の社会科でそのように習った記憶があります。
しかし、中国では専門用語としての加工貿易という言葉があり、これは輸出振興政策の一環として出来た新しい貿易概念といえるでしょう。この「加工貿易」とは、簡単に言うと「原料を海外から免税で輸入し、製品を加工してから、100%輸出する」貿易形態のことです。これに対し、一般貿易という方式であれば、輸入した商品は、特殊な例でない限り関税と増値税(日本の消費税のようなもの)を徴収されます。
つまり、加工貿易形態で輸入された材料は免税になるというのがミソです。材料が加工されて輸出される=中国国内に流れないことを前提として、輸入段階で課税される税金を免除し、輸出を奨励しているわけですね。
わかりやすくするために免税になると書きましたが、厳密には徴税を猶予している=保税状態である、ということです。もし、この材料(保税貨物といいます)を輸出製品の加工以外に使ってしまったら……処罰の対象になりかねません。また、保税貨物は税関の許可なく勝手に動かせません。
また、税関は、保税材料を厳しく管理しています。税関は、加工貿易企業が保有しているべき理論在庫数をチェックします。税関の理論在庫数(帳面在庫)は、輸入時に輸入数だけ増加し、製品輸出時に税関に事前に登録されたその製品に使われた材料数分だけ減っていきます。
そこで、査察などで実際の在庫数が税関の帳面在庫より少ないことが発覚した場合、税関はこの不足分を「輸出しなかった」ものとみなし、関税と増値税を請求してきます。ひどい場合は、罰金やその他の処罰が待っています。
しかし、この在庫数が、なかなかあわないのですな、これが。そこで、みなさん、苦労されているわけです。
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