増値税還付率変更
この通知は、2003年10月13日に出され、すぐにメディアを駆け抜けました。中国政府が増値税の還付率を見直し、多くの製品で還付率を引き下げるという決定を下したのでした。
増値税還付については、すでにご説明申し上げていますので、それをご覧頂いているものとして説明します。この還付率の変更は、来料加工企業を除く、全ての輸出企業に多大なる影響を与えました。ここで、細かい説明はしませんが、この変更によって、
(輸出額-免税輸入額)×(増値税率-増値税還付率)
の分だけ、事実上増税になるからです。今まではほとんどの製品で還付率が17%だったため、この影響はなかったのですが、今後、引き下げられることによって、多くの製品で増税状態になりました。
この額は半端ではありません。これで輸出型企業の利益は大半が吹っ飛ぶ……と言っても過言ではないでしょう。
なぜ、このようなことになったかというと、「人民元切り上げ圧力をかわすため」というのが有力な説です。上記計算式をご覧になってもわかるとおり、企業が輸出額を減らし、輸入額を増やせば課税額は減ることになります。また、国内購買材料と免税輸入材料では価格競争力に差が出ることになり、国内購買材料が還付率の差(4%であるケースが多い)だけハンデを背負っていることになります。つまり、この政策を実施することにより、「(国際競争力ダウンにより)輸出は減り、(国内購買材料の価格競争力がダウンすることにより)輸入は増える」という効果があることは明らかです。
中国サイドからは、海外世論の影響については全くアナウンスされていませんが、私はこの線が一番強いと想います。ただ、そうだとしたら、今まで「外資誘致」と「輸出奨励」の一辺倒でやってきた中国の経済政策に転換が現れたと言うことになります。これは、今後の政策の動きを見守っていくことで明らかになるでしょう。
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