転廠について
転廠とは、加工貿易企業の間で保税貨物を移動させることで、貨物は国内を移動するのですが、実務上は輸出・輸入であるとされる行為のことです。税関での正式な呼び方は「深加工結転」と呼びますが、一般に転廠と呼ばれているので、ここでもこの「通称」を使わせていただきます。
こういう例を挙げてみましょう。Aという会社があります。A社は、加工貿易企業で、保税材料を使って製品aを製造します。そのA社からそんなに離れていない場所(中国国内)にB社があります。B社も加工貿易企業で、aを購入し、bという製品を作って輸出します。この場合、本来であれば、A社がaを海外に輸出し、B社は、aを海外から免税輸入し、それを使ってbを製造・輸出……という流れになるはずです。しかし、A社とB社はそんなに離れていない場所にあり、もし、aをA社からB社に直接運ぶことが出来たら──しかも、それが加工貿易の輸出入として、免税で行うことが出来たら、なんと便利なことでしょう……というわけで、転廠というスキームが出来た、と考えて下さい。
つまり、aはA社からB社に直接納入されるのですが、書類の形としては、A社によってaが輸出され、B社によって再輸入された形を取るのが転廠です。こうすることによって、運送費や通関費が節約できるのはもちろん、国内取引でないとされるので外貨での決済や増値税の免除など、いろんな利点があります。
この転廠、便利なのは便利なのですが、何かと落とし穴が多いというのも事実です。転廠の落とし穴については、次回以降に説明します。
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