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2004.04.07

白川先生の奥さんが逝去

白川静先生の奥さんがお亡くなりになったそうです。

白川静立命館大名誉教授の妻ツルさん死去

 白川ツルさん(しらかわ・つる=中国文学者で立命館大名誉教授白川静さんの妻)は6日死去、91歳。通夜は8日午後7時、葬儀は9日午後1時から京都府向日市寺戸町小佃12の2のシティーホール向日玉泉院で。自宅は公表していない。 (白川静立命館大名誉教授の妻ツルさん死去 - asahi.com : 社会)

 白川先生は、甲骨文字の研究を重ねられて、漢字の起源についての学説をうち立てられた「日本では」有名な学者です。以前は、『説文解字』という後漢時代に書かれた本をもとに漢字の起源が語られていたのですが、この本は甲骨文字が発見される前に書かれたものなので、甲骨文字について全く考慮されていませんでした。

 その従来の定説を甲骨文字の研究を積み重ねることで、白川先生が覆してしまったのです。(それでも『説文』が正しいという部分もありますがね。)

 ……というわけで、「日本では」有名な学者なわけですが、中国では全くの無名です。といいますのも、わたしが西安交通大学で中国文学学科の授業を聴講していたとき、ちょうど漢字の起源をやっていたのですが、すべて『説文』ベースで、すごくびっくりしました。その場では先生に「日本には白川静という学者がいて……」と説明する気にもなれませんでしたが、後でそのことを説明しても「白川? 何それ?」って、感じでした。

 さらにその先生は言いました。

 「いいですか、あなた達も中国文学を専攻するのなら、ちゃんとした辞書を買って勉強しなさい。一番いいのは『辞海』です。でも、『辞海』を買うと×××元はするわね(具体的な数字は失念(^^;)」

 そこで生徒たちはどよめきましたが、おそらく値段のことだったんだろうと思います。

 そのとき、「日本には『諸橋漢和大辞典』(って名前だったかな?)があって、古本でも全部そろえようとしたら十数万はするんだけれど……」なんてこと、おくびにも出せませんでしたよ、わたしゃ。

 中国の歴史にしろ、文学にしろ、日本の方が研究が進んでいると言われています。わたしがその辺を知り合いの学者さんに聞いたところ「本当のところは、日本が進んでいるところもあるが、中国の方が進んでいる分野もある。総合すれば、たぶん、中国の方が進んでいるだろう」と言うことでした。

 ただ、両者の間に交流が少なく、お互いの研究成果が全く生かされていないのが現状なんだそうで、その辺は問題だと学者先生もおっしゃっておられました。

 以上、白川先生の奥さんが逝去……というニュースからちょっと引っ張ってみました。

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