論語について
以下は読書感想文です。
これも一時代を代表していた碩学・吉川幸次郎先生の著書です。病気が治りかけて、それでも休まなければ……という時期に一気に読み上げました。印象的だったのは、日本人の伝統的(というか、誤解された)論語観について書かれた部分でした。特に印象に残ったのが、大学入試に
①国無道、富且貴焉、恥也(国に道がない=国家が乱れているときに金持ちで偉い人であるのは恥だ)
②国有道、貧且賤焉、恥也(国に道がある=国家かうまくいっているときに貧乏で卑しい身分であるのは恥だ)
と言う論語からの引用を日本語訳させる問題を出したところ、①は正解者が多かったが、②は間違った者が多かったという話です。その間違いも、「国家がうまくいっているときに貧乏でも恥ではない」という内容が多く、著者は、「つまり人はいつも清貧であれと言う日本にありがちな考え、あるいは日本人が儒学的思想と誤解している考えが、背景にあって、こうした答案を生んだのでありましょう」と書かれています。
このあたり、出題者の著者は、「背景」を知っていて引っ掛け問題を作ったような気がするのですが、引っかかった学生の方が好ましく思えるのはわたくしだけでしょうか?
ちょっと話がそれました。以下は、中国語を学習する人へ。『論語』と現代中国語は全く関係ないと思われるかも知れませんが、有名な句はいろんなところで引用されることがありますので、有名なところはチェックしておいた方がいいでしょう。上級者は、有名な句を暗唱できるのがベストで、「ここ」という時に話の中で使うと結構受けます。それくらい、現代中国でも『論語』は生きています。
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