名・字・号:排行
がめきゅう社長さんのところで話題になっていたので、いつかうちでやろうとしていたネタをやります。それは、中国人の伝統的な名前についてです。
今回は排行について説明します。中国人の名前と言えば、名とか字とか号とか、そう言うものがまず浮かぶでしょうが、そう言うものは誰もが持っているものではありません。まあ、現代人なら誰でも名くらいは持っていますが、昔の中国の庶民には名すらない人がいました。そう言う場合、どうやってその人を呼ぶかというと排行を使って呼ぶのです。つまり、排行というのは、昔は誰もが持っていた名前とも言えます。
排行というのは、世代の順番ごとに呼んでいくやり方です。たとえば、劉という家があって、その一家のある一世代のうち、もっとも年長の人は、「劉大」と呼ばれます。そして、二番目は「劉二」、三番目は「劉三」という具合に順番ごとにつけていきます。気をつけて欲しいのは、これは世代ごとに順番をつけるもので、兄弟ごとではありません。よく長男が「大」、次男が「二」という風に勘違いしている人がいますが、そうではなく、一世代での順番なのです。
では、世代というのは何でしょうか? これにはいろんなパターンがありますが、一般的には、同じおじいさんから生まれた孫たちのことです。簡単に言うといとこ同士になります。大家族制をとる中国では、兄弟同士のつながりが強く、兄弟同士の子供も、同じ家に住み、一緒くたに育てられます。つまり、いとこというのは兄弟も同然で、その順番を示したのが排行──というイメージで考えてください。
漢詩などを見ますと、時々「王十一」とか、「張十八」とか言う名前が出てきますが、これは十八人も兄弟がいたと言うことではなく、世代の中で11番目、または、18番目、というような意味です。
最後に上記の排行の数え方や世代の解釈は、あくまで一般的な例で、例外があることも書いておきます。あと、現代ではそう言う世代による排行はほぼ消滅していることも付け加えておきます。
(追記)この記事は、以下の記事(のコメント欄)の話題を見て書いたものですので、以下の記事にTBします。
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今晩は!お元気でしたか?此方は、この頃にない寒さですが、勿論、日本以上に寒いことと思います。排行とはそう言うことだったのですね。でも、現在は姓は代々のもの、名は親がその子にふさわしい名前を考えて付けてるのではないですか? あと、北京オリンピックに向けて経済活況に満ちてますが、終わった後は?又、日本にはどのように影響してくるのでしょうか?こんな質問、おかしいかしら。
Posted by: kasen | 2005.02.01 10:42 PM
「排行」の解説ありがとうございます。勉強になります。
チョウ・ユンファがニューヨークでロケした香港映画「誰かがあなたを愛してる」で、相手の遠縁の女性役のチェリー・チェンのことを「十三妹」と呼んでいたのがありました。
中国国内は文革で廃れてしまっても、血縁関係で結束する海外華僑社会では、例え本名がアルファベット名になっても、案外そう言う習慣は残っているのかも知れません。
Posted by: 岸上 孝 | 2005.02.02 05:36 AM
kasenさん:
名前については法則があります。これについては今後書いていく予定です。経済状況については、わたくしのようなものにわかるものではございません(^^;。
Posted by: 河村 豊 | 2005.02.04 08:51 AM
岸上さん:
こういう伝統は、家族制度崩壊によってなくなったものでしょうね。昔のように家族が集まって四合院で暮らす……というような家庭は今はありませんから……。ただ、そう言う伝統がなくなっていくのは、わたくしのような人間にとっては寂しい限りなんでそう言うお話を聞くと少しうれしくなりますね。
Posted by: 河村 豊 | 2005.02.04 08:54 AM