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2005.05.06

名・字・号:号

 見えないブログを更新する楽しみから、号まで行っちゃいます。

 号というのはかみ砕いて言えばペンネームのことです。号は詩や絵や書道作品を書いたときなどに使う名前で、普通は自分でつけます。この自分でつけるというのが号の特徴で、名や字はだいたい親か一族の偉い人がつけます。

 号というのは、だいたい住んでいる場所や家の名称などを付けることが多いようで、蘇東坡先生の号「東坡」も黄州に流されていたときに地方政府からもらった空き地を自分で名付けた名前から来ています。

 あと、「先生」という敬称はもともと号の後に付けるもので、わたくしが蘇東坡先生と呼んでいるのは、尊敬の意味を込めつつ、この習慣にならっているわけです。ちなみに蘇東坡先生は、詩の中で自分のことを「東坡先生」と呼んでいたりするので、これが敬称なのか、それとも蘇東坡先生が自嘲気味に「先生」を使われたのかは完全に自信の持てるところではなかったりします。

 ここで、まとめに入りますが、名は「本名」、字は「ニックネーム(?)」、号は「ペンネーム」のことだと思っていただければ……と思います。それ以外にも以前書いた「俳号」や「幼名」などもあります。

 また、昔の人が書いた文章などを見ると、人名は大抵まともに書いていません。この「まとも」というのは、「名」や「字」や「号」を使って書くという意味で、昔の人が書いた文章では、大抵官職名とか追号とか、マニアックな呼び方で書かれており「これ誰?」と悩むことしきりであります。まあ、こんな悩みは漢文をじかに読もうとする無謀な素人くらいしか感じることのない悩みですがw。

 最後にわたくしの例を紹介します。わたくしは、姓が「河村」、名は「豊」、字が「天佑」、号は「酔月」です。

 ……と書いて思い出しましたが、わたくしの妻の本名に「梅」の字があり、それにちなんで遊びで「遠香」という字をつけたのですが、この前蘇州の拙政園に行ったら「遠香堂」という名前の堂があって、ビックリしました。わたくしは、虞世南から取ったのですが、このお堂はもっとマニアックな詩から取ったようでした。

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Comments

面白く読ませていただいてます。

以前、中国では親子で同じ漢字を使うことはないってありましたが、
それで面白い話を思い出しました。

戦時中のことです。日本人の特務が中国人になりすまそうと、中国語を習い覚え‥‥
侵入したのはいいけれど、「親は陳沢東、俺はその息子の陳沢民だ」などと
日本式をやってしまい、
バレバレでつかまってしまったという話をどこかで読みました。
ちょっと笑えるけど、辛いものもある。

他には、モンゴルに侵入した日本人が川を泳いで渡ったために
モンゴル人でないことがばれてしまったというのもありました。

他国人に成りすますってのは本当に難しいことです。

ところで、わたしの知人のお父さんの名は「興」息子は「少興」です。
でも、これはお父さんがいないときにお母さんが勝手につけた名前で、

代々使う漢字はやはり決まっているのだそうです。

戦時中にアレをやってなかったらすごくヘンと思われてしまうでしょうね(笑)。

まあ、今でも「興」の息子が「少興」というのは、すごくヘンですな。

ただ、いまだに代々使う漢字まで統一している人は少数だと思います。まあ、ある農村で、村で生まれた子の漢字を一字統一している、という話は聞いたことがあります。

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