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2007.10.02

一流を知らない悲しさ

 これは、中国に来てからずっと感じていることなんですが、中国人には「一流を知らない悲しさ」があるように思えます。

 たとえば、ビール。中国のビールは、どのビールも安物のポップを使っており、苦味が薄く草のような味がします。どのビールも「コクもなければ、キレもない」シロモノです。

 で、中国人に日本のビールを飲ませると大体「苦くてまずい」といわれます。ビールを飲んで苦いというのは、梅干を食べてすっぱいと文句を言うのと同じ。そんな人は、ビールを飲むべきではない、というのは言い過ぎかもしれませんが、中国の皆様は、ビールとは苦味が薄くて草の味がするものだ、という思い込みがあるため、それ以外の味は受け付けないんですな。

 もうひとつ例を出すと小学生が日常的に使う文房具(ノート、鉛筆、消しゴムなど)をとってみても、中国で売られているのは99%が日本では売り物にならない粗悪品です。こういう道具に囲まれて育った子供は、大人になっても「何がいい道具か」ということがわからなくなるのです。

 留学生時代に中国の大学生に日本から持ってきたノートを「これが日本で売っているノートだよ」といって見せたことがあります。それをぱらぱらとめくったその学生は「中国のとほとんど一緒だね」といってわたくしに返しました。このとき、わたくしは、言いようのない失望感を感じたのですが、よく考えてみるとあの学生は、粗悪品やマガイモノに囲まれて生活してきたため、良い製品というものがまったく理解できなくなっていたのでしょう。

 骨董品の鑑定をする人になるには、まずは本物をたくさん見ておかなければならないといいます。「本物」がわからない人には「偽者」もわからない。「偽者」しか見たことがない人には、「本物」は絶対に理解できない。

 上記は、どうでもいいことのように思えます。しかし、「一流のサービス」を知らない人が、サービス業に勤めることになったら、どういう結果になるでしょう。あるいは一流の政府を知らないから、こういう統治状況でも、みんな不満も持たず生きている、と考えたら、、、。

 かくいうわたくしも「違いのわからない男」ですがw。すべて貧乏が悪いんです。

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Comments

昔、サッカーの名選手木村和司が「うまくなる秘訣は?」と聞かれ、「いいプレーをたくさん見ること」と答えたことがありました。
その時は「なんだよ」と、不満に感じたのですが、その後自分がコーチを務めるうちに、「あ それこそが上達するエネルギーになるんだ」と納得してしまいました。
それと通じるのかも……

中国でタオルを買うと、ごわごわの上にすぐにぼろぼろになりますよね。安いのはいいんですが、安かろう悪かろうで。
以前に、意を決してウォールマートでちょっとだけ値の張るタオルを購入しました。肌触りもふかふかしていて、これは日本に引けを取らないぞ!と気に入りまして、帰国の時にもって帰りました。
....日本のタオルと比べると、やっぱりごわごわでした。知らぬ間に自分の感覚がおかしくなっていたようです。
(でも日本のタオルも中国製だと思う。この差は何だろう?)

ピーちゃんの身元引受人さん:

サッカーにたとえると「強いチームとあたりなさい」ということでしょうか。勝ったら自信になるし、負けても反省点がはっきりします。

02年のW杯で、初出場の中国チームは、ブラジルにぼろ負け(確か0-4)します。その試合で、ロベルトカルロス選手がフリーキックからゴールを決めたのですが、そのとき、中国の壁は誰もまったく反応できませんでした。なぜなら、あんな速い球を見たことがなかったから。もし、あのメンバーがもう一度同じ状況に立たされたなら、今度は少しは反応できるでしょう。

問題は、あのメンバーが本気のブラジルチームと当たるのは、二度とありえないということですが、その経験は、指導者になっても生きるはずです。

岸上さん:

デンマーク人が、国から持ってきたタオルも日本標準ではだめだめでした。たぶん、日本の製品は、ほとんどが過剰品質なんでしょう。

日本を離れると、そういう感覚が鈍ってくるというのは、やはり日本が異常だということではないでしょかね。

>>日本を離れると、そういう感覚が鈍ってくるというのは、やはり日本が
>>異常だということではないでしょかね。

はい。それは正しいのだと思います。
しかしその過剰品質国向けの製品を作る人間が中国にいるからと言って、自分の感覚まで同化してしまうと、過剰品質国向けの製品をうまく作れなくなったりして....。
と言う危険を常に感じながらの中国出張です。

まあ、こっちでも日系企業とつき合っていれば、感覚は鈍らないでしょう。こっちにいても、彼らは品質オタクですからw。

タイトルでは「一流を知らない悲しさ」というテーマで始まり、コメント欄ではテーマが「過剰品質」に変わっていて大変興味深いです。この変わり方も実は国民性をあらわしているのでしょう。過剰品質については別途、関連記事を書いてTBさせていただきます。

中村さん:

いつもコメントありがとうございます。コメントで流れが変わったのは、てきとーにやっているからですがw、また、暇なときでもご意見を拝見したいですね。

「蔵書」への貴下のコメントでご健勝を知りました。
この話題、ちょっと考えさせられるところがあります。
「中国は日本企業にとって市場にはならない」
ということになります。品質に感心のない顧客だらけでは市場になりません。そりゃ、少数の上流階級には品質にうるさい人もいるでしょうが、中国の強みは「X億の市場」という数ですからね。少数ならもっと他の国のほうが売り込み易いでしょう。
 日本のノートだとアピカがだんとつですね。鉛筆なら三菱、最近は芯ホルダーという形式が流行っているそうです。

違いのわかるお方からのコメントですね。

どうもありがとうございます。

確かに品質にそんなにこだわらない中国人ですが、ブランドは好きですから、ブランドとして確立しているメーカー、特にソニーさんあたりはやたら強いですね。

あと、車は命にかかわりますから、日本車も結構売れています。

弊社のような部品メーカーからすると、中国のお客さんというのは、値段がつりあわないのともろもろの事情でまだまだ開拓しにくいのが実情です。今は、日系のお客さんが主流ですね。日系企業は日系企業としか付き合えないんですね、いろんな意味で。

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