美術教師の脅迫に屈しなかった話
今回は中学時代の話です。
わたくしが中学三年生だった頃、ある美術の作品を提出しませんでした。その時、美術教師が今から考えるととんでもないことを言い出したのです。
それは、「あなたが作品を提出しなければ、内申書の成績を10段階の一番下である1にせざるを得ない」というものでした。
これは、事実であったかも知れません。しかし、中学三年生にとっては人生を左右するくらい重要な内申書を人質にとって、相手を自分の思い通りに動かそうという行為でもあります。つまり、卑劣極まりない行為です。
残念ながら、当時のわたくしはバカだったので、それが脅迫に当たるということには思い至りませんでした。ただ、言いようのない屈辱感というか、反感のようなものを感じました。それともともと怠け者だったので、作品製作自体が嫌だという気持ちもありました。
結局わたくしは、作品を提出しませんでした。わたくしが世渡り上手なお利口さんだったら、そそくさと作品を提出したでしょう。しかし、生徒の中には、そんな計算すら出来ないバカモノがいるとはその美術教師も思わなかったでしょう。彼女の目論見は見事に失敗したのです。
このことは「事実であったかも知れません」と述べましたが、実は事実でした。進路指導のとき、先生がわたくしに「普通なら大丈夫だけど、内申書に一科目だけ1がついてるから、なんとも言えない」と言われました。
しかし、結果として、わたくしは志望校に合格し、言うことを聞かない生徒の人生を破壊しようという美術教師の目論見はここでもうまくいきませんでした。
もし、美術教師の目論見通り、高校に合格できなかったとしても、何か別の人生があったでしょう。わたくしは卑劣な脅迫に屈しなかったのですから。
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