保税区について説明します。
保税区というのは、中国国境の中でありながら、税関的には国外と同じようなものと解釈されている場所のことです。もし、この概念が厳密に運用されていれば、保税区に出入りするとき、全ての人とモノは通関手続きをしなければならないかわりに、保税区から直接国外に出るときには、出国の税関手続きをする必要が無いと言うことになります。
この概念をわかりやすい例でたとえますと、空港のイミグレから搭乗口までのスペース(免税店などがあるスペース)のようなもの……となります。
ただ、実際には、上記のように厳密には運用されておらず、保税区に出入りするときには税関のチェックはありますが、入出国検査のように厳密ではなく、また、保税区から直接国外に出るときには、通常の入出国検査同様の検査を受けなければなりません。
なぜ、そうなるかと申しますと、保税区というものが、国内にあり、その中にたくさんの倉庫や製造企業を抱えていると言う事情があります。もし、保税区の出入りに入出国並みの検査を課せば、これらの企業の実務に大きな支障をきたすことになり、税関もそこまで厳密に運用できないと言うのが実状なのです。
鳴り物入りで登場した保税区ですが、上記のような事情もあり、それほどありがたくないと思われている向きもあります。特に保税区を出入りする貨物の通関書類のうち、増値税還付に必要な書類に税関が出国証明のはんこを押さないため、保税区を経由した取引は国内取引とみなされ、増値税の納税が必要になってくるなど、さまざまな問題点があります。
こういった問題を解決するため、現在、物流園区と言う新しい特別区域を保税区の中に作り始めています。ここは、本当に国外扱いされている「真の保税区」とも言うべき区域で、わたくしの知っている限りでは、上海の外高橋にすでに設置されています。
深センでも、物流園区を作るという計画があり、これによって、保税区の活性化が図られるものと見られています。
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